この項では「熱伝導率の特徴」を、特に土壌と粒子状の物質に焦点を当てて説明するものです。
外部からの提案・変更・追加事項など、大歓迎ですのでご意見をお寄せ下さい。
熱伝導率は物質の特性-もしある温度変化DT(K/m)が見られる場合、その物質を透過する熱流(W/m2)-を表します。
熱伝導率は通常 W/m.k.またはIで表され、公式は次のようになります。
[ 熱流速 = 熱伝導率 x 温度差 ]
気をつけなければならないのは熱伝導率は準静止状態を表す場合の特性だということです;温度変化(勾配)は一定しているとした場合、
温度変化が始まると同時に別の変数が方程式上に現れます。
この事は熱伝導率を測定することがいかに難しいかを示します。理想的には定常状態が望まれます。しかしながら研究実験においては、
綿密なプランニングと平衡を得るために長い測定時間が必要とされるため、これは非常に困難です。
物質による熱伝導率の違い(表)
熱伝導率 @ 20°C W/mK |
密度 @ 20°C Kg/m3 |
熱容量 @ 20°C 106 J/m3K |
熱拡散率 @ 20°C 10-8 m2/s |
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空気 | 0.025 | 1.29 | 0.001 | 1938 |
グリセロール | 0.29 | 1260 | 3.073 | 9 |
水 | 0.6 | 1000 | 4.180 | 14 |
氷 | 2.1 | 917 | 2.017 | 104 |
オリーブオイル | 0.17 | 920 | 1.650 | 10 |
ガソリン | 0.15 | 720 | 2.100 | 7 |
メタノール | 0.21 | 790 | 2.500 | 8 |
シリコンオイル | 0.1 | 760 | 1.370 | 7 |
アルコール | 0.17 | 800 | 2.430 | 7 |
アルミニウム | 237 | 2700 | 2.376 | 9975 |
銅 | 390 | 8960 | 3.494 | 11161 |
ステンレス | 16 | 7900 | 3.950 | 405 |
酸化アルミニウム | 30 | 3900 | 3.413 | 879 |
水晶 | 3 | 2600 | 2.130 | 141 |
コンクリート | 1.28 | 2200 | 1.940 | 66 |
大理石 | 3 | 2700 | 2.376 | 126 |
ガラス | 0.93 | 2600 | 2.184 | 43 |
パイレックス(強化ガラス) 7740 | 1.005 | 2230 | 1.681 | 60 |
ポリ塩化ビニール | 0.16 | 1300 | 1.950 | 8 |
テフロン | 0.25 | 2200 | 2.200 | 11 |
ナイロン 6 | 0.25 | 1140 | 1.938 | 13 |
人工大理石 | 1.06 | 1800 | 2.307 | 46 |
砂(乾燥) | 0.35 | 1600 | 1.270 | 28 |
砂(湿潤) | 2.7 | 2100 | 2.640 | 102 |
ガラス粒(乾燥) | 0.18 | 1800 | 1.140 | 16 |
ガラス粒(標準) | 0.76 | 2100 | 2.710 | 28 |
木 | 0.4 | 780 | 0.187 | 214 |
綿 | 0.03 | – | 0.001 | – |
皮 | 0.14 | – | 0.001 | 59 |
コルク | 0.07 | 200 | 0.047 | 150 |
気泡ガラス | 0.045 | 120 | 0.092 | 49 |
ミネラル系断熱材(ロックウール) | 0.04 | 100 | 0.090 | 44 |
プラスチック系断熱材 | 0.03 | 50 | 0.100 | 30 |
土壌一般の測定範囲 | 0.15 to 4 |
濡れた土 | 0.6 to 4 |
完璧に乾燥した砂 | 0.15 to 0.25 |
湿った砂 | 0.25 to 2 |
濡れた砂 | 2 to 4 |
粘土(乾燥と湿気の中間度) | 0.15 to 1.8 |
粘土(濡れた) | 0.6 to 2.5 |
有機土壌 | 0.15 to 2 |
岩石 | 2 to 7 |
火山岩(気泡状) | 0.5 to2.5 |
熱変数の変換に伴って、熱容量 C (J/K.m3) の値も関係してきます。 熱容量は物質特性を意味することはすでに述べたとおりです。これはあるボリューム V (m3)においての温度の変化T (K)のためには物質エネルギーE (J)の流動があるということを表します。熱容量は通常、その物質の密度r (kg/m3)と連動しています。熱容量Cの値は専門書などで 密度 x Cp (J/K.kg) として表されています。
C = 密度 * Cp
変化過程の影響により、温度変化 対 時間において、 熱伝導率と熱容量の両方によって既知の境界におけるコンディションが決定されます。
熱拡散率 = 熱伝導率/密度 * Cp
熱拡散率は ( m2/s) 常に時間t(s)を掛けたものと等しくなります。
例を挙げると:建築断熱材の熱拡散率はコンクリートの熱拡散率と同レベル、両方とも4. 10-7 m2/s.になります。実際のコンクリートの断熱性はそれよりも低いですが、しかしそれ自体を温めるためにより多くのエネルギーを必要とするため、全体の"反応時間"は両方とも同じになります。