熱流の測定

Photo shows model HFP01 Courtesy Hukseflux Thermal Sensors. 典型的な熱流センサー.中心のロゴマーク部分が熱流通過部分を
示し,ワイヤーを通して数値を読み取ります.直径80mm 
写真はHFP01
schmidt boelter gauge or gardon gauge hukseflux 火炎研究のための典型的な水冷式熱流センサー;別名ガードン
ゲージまたはシュミットボルターゲージ. 写真はSBG01
シュミットボルターゲージ
radiative and convective heat flux sensor 典型的な対流と放射に感応する熱流センサー. 写真はRC01で
金属のヒートシンクに金色と黒色にコーティングされたセンサー
が組み込まれています。金色部分は対流熱流のみを、黒色部分は
放射熱流のみを測定します。細い針のような空気温度センサーは
局所的な熱移動係数を測るためのものです。

熱流センサーとは局所的な熱流をそれに比例した電気信号に変える変換器のことで、一般的に使われている呼び名です。この熱流には異なる発生源が考えられますが、基本的には伝導によるものと同様に対流によるものと放射によるものが測定されます。熱流センサーは幾つかの異なる名前によっても知られています。例えば熱流変換器、熱流ゲージ、熱流板などです。他にも日射計(太陽放射測定)や、シュミットボルターゲージ(Schumidt Boelter Gauge,-火炎の熱流測定-)などのように、限られた目的のための数々の熱流センサーがあります。

SI単位において熱流は1m2あたりのワット数で表されます。

 

利用に関して

熱流センサーの利用は広範囲にわたります。一般的な利用は建築部材などの熱抵抗(断熱)の研究、火炎の影響の研究やレーザー力の測定などが挙げられます。さらに特徴的な応用例としては炉の内部表面の汚染探知や製造過程中でのシート状素材の温度測定などもあります。

全ての熱流は伝導、放射、対流の3成分からなります。応用対象によっては3成分全てを測定する場合もありますし、この中の1成分のみということもあります。例えば熱伝導の測定としては壁の中に埋め込む熱流板が挙げられます。

また放射の熱流測定の例として、太陽放射を測定する日射計があります。他にも対流と放射の熱流に同時に感応するセンサー、ガードン(Gardon)やシュミットボルターゲージ(Schumidt Boelter Gauge)が火炎研究のために使用されています。

熱流センサーを内蔵している数々の例として、レーザー光線測定器、日射計などが挙げられます。 

 

次に挙げるのは大きく3分野に分けた応用例についてです。

 

気象学と農業学への応用

土壌に蓄積されるエネルギー量の研究が行われるようになって以来、土壌における熱流の研究は農業気象学において欠かせないものです。

典型的な使用例として、2-3個のセンサーを気象観測地点周囲の地表から4cmほどの深さに埋め込みます。地中に埋め込むことによる問題点として次の3点が挙げられます:

・第一に土壌における熱特性は常に水分の吸収とそれに伴う蒸発に よって変化しています。

・第二に土壌における水分の移動は同時にエネルギーの移動を意味 します。これには一時的な熱変化も伴い、一般的なセンサーにお いては誤測されることがよくあります。

・第三に土壌では常に乾燥と湿潤が繰り返され、また地中の生物の 存在によって土壌とセンサーとの接触状態が常に安定していると は限りません。

これらの状況から分かることは地中の熱流の測定は完璧にコントロールしきれないということです;土壌においての熱流測定は実は非常に難しいといえます。

 

建築物理学への応用

現在世界中で省エネ、建築物の熱特性の研究が新たに注目されています。数ある注目点の中でまず手始めとしては、現存の建築物の壁や構造材の中に熱流センサーを埋め込む込むことによる調査・研究が考えられます。

壁中の熱流測定は土壌においてのそれと数々の点で比較できます。しかしながら2つの大きな違いは一つは壁中の熱特性は通常変化しないという事、またセンサーを壁中に埋め込むことが可能とは限らず、壁の表面に設置しなくてはならない場合があるという事です。壁の表面にセンサーが取り付けられた後、測定のための付加熱抵抗値が大きくなりすぎないように注意しなければなりません。また光学的な特性もできるだけその壁のそれと同じにする必要があります。もしセンサーが日射にさらされる状態にあるとしたらこれはとても重要です。この場合、センサーを壁と同色に塗る必要があります。また壁中での測定ではセルフキャリブレーションタイプのセンサーの使用を考慮する必要があります。

 

医学分野への応用

人体における熱変化の測定は医学研究に欠かせない重要なものであると同時に、衣服のデザインやドライスーツ、寝袋など多岐にわたる研究開発にも有効です。

人体における測定が難しいのは人間の皮膚はセンサーを取り付けるのに最適とは言い難いためです。またセンサーはごく薄いものでなくてはなりません;人間の皮膚は基本的に常に放熱しています。測定のための付加熱抵抗値は役に立ちません。また別の問題点は測定中の人間はどうしても動いてしまいます。テスト中の人間とセンサーとの接触が常に完全とはいえません。これらの理由から、-高精度の測定は常に要求されていますが-、セルフキャリブレーションタイプのセンサーの使用をお勧めします。

 

特性

 

熱流センサーは局所的な熱流をー方向で測定します。測定結果はW/m2で表され、計算式は次のようになります。

Φq = Vsen / Esen

センサー出力が Vsen で Esenがキャリブレーション定常値というのがセンサーの特徴です。

 

General Heat Flux Sensor 熱流センサーの一般的な仕組み

左側の図を参照していただく前にすでにご覧頂いたように、熱流センサーは平板の形状をしており、センサーの表面に対して垂直に反応します。

通常センサーにはサーモパイルが使われます。一般的にサーモパイルの利点は安定性、低い抵抗値(これは微量な電磁波の感知を意味します)、良好な信号対雑音比(S/N比)、そしてゼロ入力であればゼロ出力であるという事実です。欠点としては感度が低いという事です。

熱流センサーの仕組みをもっとよく理解するために電気抵抗値(R)とキャパシタ(またはコンデンサ、C)を使った電気回路をモデルとして考えることが出来ます。これによって熱抵抗値 Rsen、熱容量 Csen、それに反応時間 Tsen がセンサーの特性だということが分かります。

通常、熱流センサーの熱抵抗値と熱容量はセンサーが組み込まれている測定対象物と同

じになります。電気回路における類似点をさらに広げると反応時間においては次のようになります:

τsen = Rsen * Csen = d2 * ρ * Cp

この中でdはセンサーの厚さ、 ρは密度、 Cp は熱容量、λは熱伝導率です。この公式から測定対象物の特性とサイズが反応時間を決定するという事がいえます。大雑把に言えば反応時間は厚さの平方に比例するということになります。

センサーの特性を決定付ける他の変数(パラメータ)はサーモカップルの電気的性能です。熱流センサーの温度依存性と非線型性はサーモカップルの温度依存性に起因します。ある特定の温度においての非線型性はその温度においての温度依存性をもたらします。

何にせよ、良く設計されたセンサーは低温度依存であるとともに予想を上回る線型性を示します。そのためには2つの方法があります。

 ・ 一つは、測定対象物とサーモカップルの素材の伝導率の温度依存性をサーモパイルによって発生した電圧の温度依存性に対して平衡  させることです。

 ・もう一つの熱流センサーの温度依存性を最小限にするための可能性としてはサーミスタと一体になった抵抗回路の使用が挙げられま  す。サーミスタの温度依存性はサーモパイルの温度依存性と釣り合います。

熱流センサーの特徴を決定付ける別の要素して、センサー本体の構造が挙げられます。あるセンサーは強い非統一性の感度を示し、また別のセンサーは側面の熱流への反応を示します。上の図で概略的に示されたセンサーは例えば左から右への熱流にも反応します。このような特性は熱流に統一性があり、一方向であるときに限っては問題にはなりません。 

Sandwich construction サンドイッチ構造

感度の統一性を良くするには、左の図に示されるようないわゆるサンドイッチ構造と呼ばれる構造が用いられます。高伝導率を持つ熱流板の目的は熱移動が感知表面全体をくまなく行われることにあります。

側面の熱流において非統一性と感度を一定化することは困難です。あるセンサーは余分に電気配線を備えており、センサーを2つの部分に分けます。作動中にセンサー、または熱流の非統一性が見られた場合、これは2つに分けた部分による異なった出力ということになります。

要約:熱流センサーの本来の特徴とされるのは、熱伝導、熱抵抗、熱容量、反応時間、非線型性、安定性、感度の温度依存性、感度の統一性、そして側面における熱流への感度です。最後の2つにおいての優れた方式はまだ確定されていません

 

 

誤認・誤差の原因

熱流センサーの測定結果の認識においてよく推測されている現象は準静電気とそれがセンサー表面に対して横断面に起こるということです。大きな変化と側面での熱流が誤認・誤差の原因になると考えられます。

変化による影響

測定の環境が準静電気状態だとするとそれは感知器の反応時間に関係してきます。

radiation sensor 放射線感知器としての熱流センサー

熱流センサーを放射線感知器として使用すると(左図)、熱流変換の効果を説明することが出来ます。センサーのコールドジョイントを一定の温度に保っておき、エネルギー流量をt>0 だとするとセンサーの反応は下記のようになります:

Vsen = Esen * (1 – e-t/τsen)

これは何度かの反応時間、Tsen が等しくなる時間があれば、誤認の可能性があるということを示します。一般的にセンサーは非常にゆっくりで95%まで反応するには数分かかります。長期間にわたって総合した測定数値を理想とするのはそのためです;この期間中、センサーのシグナルは上下します。長い反応時間による誤差はなくなると仮定します。上方向のシグナルはエラーを示し、下方向へのシグナルは異なるサインを伴った同程度の大きなエラーを出します。これは安定した熱流を伴う期間が優勢である場合に限って有効だということになります。

長い反応時間から生じるエラーを避けるために、熱抵抗と容量( Rsen Csen)の値が低いセンサーを使用する必要があります:言い換えればボリュームの少ない、または薄いセンサーが理想とされるということです。

コールドジョイントが一定の温度である限り、センサーの反応時間は上記の方程式のようになります。予想外の結果はセンサーの温度が変化したときに生じます。